私の本音は、あなたの為に。

その仕草で、長年一緒にいた私には全てが伝わって。


花恋は一瞬こちらを見ただけで、すぐに余計な一言を口走った彼を睨み付けた。


｢ねえ、皆迷惑してるの。少しは考えて？｣


皮肉めいたその言い方に、佐々木は目を向いた。


｢は？｣


｢は？｣


私は、佐々木と同じ言葉を繰り返す。


｢さっき言ったよな？許さないって｣


｢佐々木、記憶力無いの？いい加減学べば！？｣


私と花恋の声がマッチする。


佐々木は、完全に狼狽えていた。


｢何で人の死を笑い物にするんだよ！？お兄ちゃんだって、もっと生きたかったはずなのに…よくそんな事が言えるな！｣


｢っ…だから…｣


｢“死んで当然”って、まだ言う気？｣


花恋は顔にかかった長い髪を振り払い、呆れた様に佐々木を見つめる。


私の為に、佐々木に本気で怒ってくれている花恋。


その姿は、本当に勇敢で。


涙が零れそうになった。



その時。


｢はーい、帰りの学活始めまーす｣


何も知らない担任の岩下先生が教室に入って来た。


そして、私と花恋が立ち上がり、揃って佐々木を睨み付けている光景を目にする。


｢ちょっ…どうしたんだ？｣


その言葉を機に、佐々木がこれみよがしに先生に泣きつく。


｢何か、この2人がいじめてきて……｣