私の本音は、あなたの為に。
もしも私の事を許してくれたのなら、また花恋と話したい。


また、他愛のない話で盛り上がって。


けれどその前に、私の悩みを聞いて欲しい。


私の事を、ママが分かっていない事を。


(花恋…)


本当に、仲直りがしたかった。



「優希」


職員室の前でそうやって考えていると、後ろから声がした。


「えっ…」


振り返ると、長い髪をお団子にまとめた花恋が立っていた。


「花恋…」


『まだ怒ってるよね、ごめんね』


そう謝ろうとすると、


「優希、ごめんっ!」


いきなり、私の親友が頭を下げてきた。


(えっ!?)


突然の彼女の行動に、私の頭は全くついていけない。


「待って、どうしたの花恋?」


私は慌てて花恋の顔を上げさせる。


花恋は、反省した様な表情を浮かべていた。


「優希が髪切った時、何か理由があったはずなのに…。私、何も聞かないで怒っちゃって…ごめんね!」


驚きで思考回路が停止しかけている私は、花恋の言葉を何度も頭の中で繰り返し再生をする。


そして、ゆっくりと口を開いた。


「こっちこそ、何も言わなくてごめん。…約束、破ってごめんね」


「ううん、あんな約束ごときで怒った私が悪いの」


花恋は大きく首を振る。


それと同時に、沢山の教科書が入った花恋のリュックがガタガタと音を立てた。
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