副社長は今日も庇護欲全開です
緊張でいっぱいになりながら、副社長を控えめに見る。

とにかくクールで近寄り難い人だと思っていたから、今夜も声をかけてもらえて驚きと嬉しさが入り混じっていた。

「そうか。それなら、少し安心した。そうそう、きみの改善案だが、システム部で進みつつある」

「本当ですか⁉︎ とても光栄です。微力ながら、少しでもお役に立てることは頑張りますので」

素直に嬉しくて、頬がほころびそうになる。すると、副社長は穏やかな笑みを見せた。

「とても大きな力だよ。下村さんは、本当に仕事に意欲的なんだな」

「はい! 先日も、申し上げましたが、私はこの会社に入るのが夢でしたから。常に進化しながら、前に進んでいる……そういうイメージです」

「そこまで思ってくれているのは、経営者としても本当に嬉しい」

少し熱く語ったかなと、照れくさい気持ちもあるけれど、副社長に嬉しそうな顔をされてホッとする。

「だから、これからも努力していきたいなって思います。あ、すみません。足止めしましたよね。傘をありがとうございました」
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