副社長は今日も庇護欲全開です
「えっ⁉︎ なんで、そう思うんですか?」

かなり図星だけれど、恥ずかしくてすぐには返答ができない。すると、副社長のさらにクスクス笑う声が聞こえてきた。

《声がまだ、少し覇気がないというか。休日だもんな。悪かった、またかけるよ》

「あ、待ってください!」

電話を切られそうになり、慌てて引き止める。せっかく副社長が電話をくれたのに、このまま終わるのを嫌だと思う自分がいた。

突然のことで驚きつつも、嬉しさのほうが勝っているから。

《どうした?》

優しい副社長の声に、胸がトクンとときめく。

「あの……、せっかくお電話をいただいたんですから……。実は、昨夜の出来事が夢心地で、あまり眠れなかったんです」

気恥ずかしく思いながらも正直に話すと、彼からすかさず問いかけられた。

《昨夜の出来事って、俺と食事に行ったこと?》

「はい……。それに、副社長から連絡先を聞かれたこともです……」

言いながら、照れくささで顔が熱くなってくる。自分の気持ちを相手に伝えるのって、苦手なタイプなんだけどな。

なぜだか、副社長には言えてしまうのが不思議……。
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