転生令嬢の異世界ほっこり温泉物語
私が暮らすのは、領地内のふたつの村の内のひとつのミント村。
これといった見所のない小さな集落だ。

村の世帯数は三十。村民は百二十人くらいでその殆どが農業を営んでいる。

南側にある正門から見て一番奥に私の住む領主館。そこから少し離れた所に村人の家が並んでいる。

村にお店はたったの一軒。何でも屋のようで食品から日用品、衣類まで揃っている。
だけど品揃えは悪いので、買い物は近隣の大きな村まで行くか、そこでも売ってなければ辺境伯領まで行くしかない。

周囲は自然がいっぱいだけれど、珍しい景色はなく、生活感が溢れるところだ。


引越しをして来て十日目。

ベッドの中で微睡んでいると、聞き慣れた声が聞こえて来た。

「お嬢様、おはようございます、朝ですよ」

幼い頃から私の身の回りの世話をしてくれている、ラナだ。
今回の引越しにも当たり前のように着いて来てくれた。
おかげで慣れない場所の暮らしも不自由かなく、助かっている。

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