君がいて、僕がいる。
それから10分ほどして電車が到着し、そこからまたバスで15分、なんとも素晴らしい田舎へと到着した。
「すごぉい…」
「え、なにが?」
「こういうマジな田舎って初めて来るかもしれない」
いや、私たちがすんでるところも田舎なんだけど。
ほどほどの田舎だから、こういうバスの最終が16時だとか、自動販売機とかコンビニがないとか、なかなか来ることがない。
見事な田舎だ。そして山、川。
さっきのバスも2時間に1本しかない内の1本で、圭介がもう行かなきゃっていった意味がわかる。
「……じゃっかんバカにしてない?」
「え!してないよ!むしろ感動してるんだけど。
いいよね、こういうとこ。私好きだよ」
なんか、集落…っていうのかな?みんなが仲良さそうな、平和な感じ。
「なら良かった。
家、もうすぐそこだから」
荷物をもって、車の来ない車道渡って坂を上れば、一軒の家が立っていて、たまねぎがたくさん干してある。
小さめの畑には野菜もたくさんできていて、まさに田舎暮らし。
「ここ」
そういって玄関を開けると、本当に昔ながらの家で、これまた感動…
土間がなんとも涼しげだ。
「おーい、圭介だけど~」
そういうと、まだ元気そうなおばあさんが一人、奥から顔を覗かせた。
「あれがばあちゃんな」
優しい笑顔…だけどいつもとはちょっと違った顔した圭介が私にそういって、家の敷居を跨ぐ。
私は入っていいのか…?と不安になったのも束の間…
「え、圭介の彼女さんかね!」
元気な声でそういわれたので、私も中に入って頭を下げた。
「こんにちは、原真希といいます」
「あらまぁ…、彼女さんなんて、圭介も大人になって…」
「いや、今時子供でも彼女作るから。
それよりじいちゃんは?」
「おじいさんは祭りの準備で隣の山にいってるよ」
「へぇ、早。」
・・・ん?
え、祭りの準備で、隣の山…?え、はい?
隣の山って……あっち!?
なにその隣町に…みたいな勢い!!
そんな遠いのか!?これが普通なのか!?
「圭介も行くんか?」
「おう、行くよ。
でもとりあえず昼飯から頼む」
「あぁ、もう出来てるよ。
真希ちゃんもどうぞ、狭いけどゆっくりしてって」
「あ、はい。お邪魔します」
圭介につられて土間の奥へと進むと、なんともまぁ広い居間。
たたみの匂いがなんとも夏らしく、その向こうの窓の景色もとってもきれいで、とにかく風通りも素晴らしくて涼しい。
あんなに暑い暑いと毎日を過ごしている私の地元と同じ県だとは思えない。
なんて快適な家なんだ。