君がいて、僕がいる。
その声の持ち主が誰か、なんて考えなくてもわかる。
この小さな村で。こんなに似た声で、似たしゃべり方の人がもう一人いるとは思えなくて、
……だけど、一緒に聞こえる楽しそうな女の人の声に、私の胸はまた締め付けられる。
こんなことでこんなにも私の心が反応するなんて、恋を言うものはすごいなと思い知らされる。
真っ暗だし、このままここで知らないふりしてよう
そう思ったんだけど
「美咲、ちょっと寄ってこ。」
「あ、うん。いいよ」
……予想外にも、二人がこの公園に入ってくる。
・・・なんなの、この展開。
これは…私はここから動かない方がバレない?
…絶対に、今ここであの二人に会うのはいやだ。
でも……あの二人をこのままここで見ているのは、もっと嫌だ。
「俺さ、美咲に話あるんだよ」
「話?」
・・・話?
ここからは見えない、二人の姿。
でも…その圭介の声はどこか真剣で
わざわざ、こんな公園に二人で来て
二人きりで、話をする。
そんなシチュエーションをこのまま見てるのはもっと嫌で
絶対に、私は聞いていい話ではなくて
……だって、異性を呼び出して二人きりでする話なんて、限られてるでしょ…?
「俺、昔…ずっと美咲のこと」
もう、そんなフレーズを聞いたら勝手に走り出していた。
思いっきり立ち上がった瞬間、走り出した瞬間
持たされていた鈴が鳴って、二人の視線がこちらにきたけど
「真希っ!」
……聞きたくない。
聞きたくない。
その一心で、私はおばあちゃんちとは違う方向へと走っていた。
ここがどこだかわからず、どこに向かっているのかもわからないけど
逃げるしか、私にはできなかった。