君がいて、僕がいる。



私、どうして気づかなかったんだろう。
……ううん、どうしてわかろうとしなかったんだろう。


「……お父さん、昨日将希のこと怒ったでしょ?」

「あぁ、怒ったよ」

「……どうして?」

「…どうして、理由を聞く?」

「私は、将希が悪いことをしたとは思えないから」


……でも、きっとお父さんには理由があるんだよね?
だからこそ、怒ったんだよね?


「……やり方は他にもあると思ったからだ」


私は、お父さんがなにを考えているのか、少しでも知りたいよ


「……え?」

「あいつは、周りの大人を頼ろうとはしない。
すべて自分でなんとかしようとする。

今回は警察に助けられたかもしれない。
……だけど、もし相手が悪かったら
もしそこに、助けてくれる大人がいなかったら

……なにかあってからじゃ遅いんだ。
あいつの正義感は認める。でもな、お前らは
俺の大事な子供達だ。
たとえどんな理由があったって、危険なことはしてほしくないんだよ」


そう話す父の言葉に、私の睫毛はまた濡れる。
どうして、どうしてって、自分を責める言葉が私の頭を埋め尽くす。

この人はこんなにも私たちを愛していたのに


「まぁ、あいつが最近生意気で俺も売り言葉に買い言葉で熱くなるときもあるけどな

……でも、きっといつかあいつもわかるときが来る。
だから俺はどれだけうざがられようが嫌われようが、言い続けるよ。
あいつのためにもな」

「……じゃあ、去年私にあんなにうるさかったのも…」

「高校受験は将来を決める第一歩だからな。
妥協なんて、してほしくはなかったから」



・・・なんだかなぁ
この人、大人の癖にどんだけ不器用というか、なんというか…

ガキっぽい。


なんかさすが将希の父親って感じするわ。


「……お母さんのことはどうするの?」

「……それは、俺も今悩み中だ」


なんかさぁ
この人がここまで家族のことを考えてるってもっと表面に出せば、お母さんも将希もこんな荒れなかったんじゃ…って感じなんだけど。


っていうか、荒れた将希に拍車をかけたのはあなたなんじゃ…?



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