君がいて、僕がいる。
優斗くんに校門まで送られて、ここからは1人で家まで戻る。
……たった1ヶ月だったのに、圭介がとなりにいないことがまだ慣れないよ…
この道を一緒に歩いたことだって数えるくらいしかないけど、それでもまだ慣れないよ…
「__ただいま」
いつもならあっという間に歩くこの道も、1人で歩くと本当に長く感じる。
少し前まで1人で歩くことが当たり前だったはずなのに…
私の声だけが聞こえるこの家
……誰もいないのか…私はそのままトントン、と階段を登っていって
「……勝手に入ってんなよ」
自分の部屋に寄ることもなく、将希の部屋のドアを開けた。
「……真希?」
だけど、私のこの悲惨な顔と、決して元気のないこのテンションにさすがの将希も心配そうに私の名を呼んだ。
「……圭介と別れた」
普通、こんな話を弟にはしないと思うけど…1人で抱えきれるほど私の器は大きくもないし、圭介しかいなかった私にとってほかにこんなことを話せる人もいないから…
「は?」
「……圭介と別れたんだってば!!」
「いや、俺にキレられても。
ってかなんで?昨日まで俺のこと放置してまで一緒にいたくせに」
私はそのまま将希のベッドへと倒れ込んだ。
「パンツ見えてる」
「別に将希に見られても」
「変なもん見せんなくそ」
・・・なんて失礼なやつなんだ。
私がこんなに目を腫らして落ち込んでいると言うのに。
仕方ないので座り直して。将希のことをじーっと見つめた。
「……なんだよ」
別れた、なんて話しておきながら
その原因が将希だと知ったら、こいつはどう思うんだろう
将希が悪くないにしても、どうして話していいのか、ここにきてわからなくなった。
「…別に話したくないならいいけど
そんな辛いなら、俺相手にでも話して泣いちゃった方がいいんじゃね」
……なんで、こういうときばっかり優しいんだよ。
いつもはあんなツンケンしてるってのに
「……あんね、前に
将希がやったわけじゃないのに警察に補導されたことあったでしょ。万引きで」
「あー…去年?」
「そうそれ。
それさ、本当は圭介がやったんだって」
無難なところから話に入る。
こいつが、変に責任を感じることがないように。
「知ってるけど」
「・・・は!?」
なのに、将希からは意外な返事だった。