君がいて、僕がいる。
将希はそのあと少しだけ黙った。
正直、将希の顔が見ているのが辛いくらい、将希の顔が険しくて、
これから、どんな真実が出てくるのかとビクビクしていた。
なんとなく、私の心が拒否してる。そんな感じだった。
「……万引きはしてない。タバコも吸ってない。
…でも、確かに俺は警察の世話になるようなことしててさ」
「……なに…?」
今からなにが出てくるのか、そんなことにビクビクしていた私だけど
将希から出てきた言葉に、私の体は固まった。
「……真希さ、あの頃ストーカーにあってたろ」
その、言葉に。
___あの頃、受験生だった私は夜まで図書館で勉強をして、帰り道に誰かにつけられてるような感じはした。
電車に乗れば痴漢にあってたし…まぁそれも将希のお陰でなんとかなってたんだし、そんなに乗る機会もなかったけ…
「…でもそれがなんか関係あんの?」
もう、嫌な予感しかしない。
この先のことを知りたい、でも聞きたくはない
そんな葛藤が私のなかを渦巻く。
「……あの、あの日…
真希さ、どっか出掛けてたろ」
「あの日…どう、だったかな…
あんま覚えてないけど、あの頃は図書館か…あっ、確か辞書を買いに本屋に…」
「…駅の近くの、だろ?」
「うん、そう。あそこがここらへんじゃ一番大きいし…」
駅前にある、3階建ての大型書店。
近所の本屋さんでは本当に種類が限られてるから、私はいつも駅前の大きな書店まで足を運んでいる。
「……そこでさ、真希盗撮されてて」
「は…!?」
と、盗撮!?嘘でしょ…?
っていうか、なぜに私を…?
「相手はただのおっさんだったけど、まぁ真希がきっと好きだったんだろな~
それだけでもやばいけど、もうアイドルの追っかけみたいな状況になってて
そんで、結果盗撮的な」
「で、でもなんでそれを将希が知ってんの…?」
「俺もいたから。そこに。
そのときはちょっと面白半分にツレと真希のことストーキングしてるやつを捕まえよう的なノリだったんだけど
行ってみたらさ…そいつ、真希のスカートん中撮ろうとしてて」
………スカートの、中…
もうあれから1年以上たつのに、鳥肌がたつ。
なんの言葉も出ない…。その代わりに、私の意思とは裏腹に涙が出てきた。
「それ見て、俺の頭の中のなにかがプツン、と切れて
……思わず、そいつを捕まえて店の外まで連れ出したんだよ。
で、近くの公園まで拉致ってボッコボコ。
結局、俺のツレが俺を本気で止めるまで無意識にボコってて、気づいたらそいつ、意識なくてさ…
さすがにヤバイと思った俺はツレと逃げた。
…でも、そいつのケータイだけはしっかり持ってな。
真希の写真、全部消してやると思って」
……なんなの、こいつは。
いつからこんなに姉思いになったんだよ…