君がいて、僕がいる。



あの夏休み明け以来、空を見上げない日はない。
毎日何かを願っている。

優斗くんと将希の受験のこと
由貴がバレンタインに告白をするというからうまくいくようにとも願った。
世奈は部活の大会があったから、怪我しないようにと願ったことも。

そして、圭介のことも。
『またいつか一緒に笑える日がくるといいな』
ただそれだけを、ひたすらに。


あの頃、自分の幸せのことばかりを願おうとしていた私。
でも、今思えば
誰かのことをこんなにも願えるこの毎日が、一番幸せなのかもしれないと気づいた。

自分の幸せを願うんじゃない。
誰かの幸せを願うことが、私にとって最も幸せなことなんだって…


そして、自分のことは自分でなんとかする。
努力次第で、いくらでも幸せになる。願いが叶う。
そんなことを、圭介に教えてもらったから。


「真希ー、木村さんきたけど」

「あっ!約束してたんだった!!」

「……忘れてたのかよ…」

「すぐ行くからリビングで待ってもらって!!」


そして、無事志望校に合格した優斗くんは明日、この田舎から出ていく。
だから今日は、私からのお祝いということで久しぶりに一緒にご飯を食べにいくんだ。
最近ずっと行ってなかったからね。


「ごめん!お待たせしました!」

「はは、待ってないよ。
行こっか?」

「うん!」


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