君がいて、僕がいる。



それからしばらくしてご飯ができるわけだけども、この家にあった調味料で作ったから味がなんか……変じゃないんだけど、なんちゃって回鍋肉になった。

しかも野菜があときゅうりしかなくてサラダとかもできず、ちくわに切ったきゅうりをさしただけ。なんてお手軽なんだ。


とりあえず、少ない材料と調味料ではこんなんが限界。私の限界はここまでさっ。


「ん、できたよー。」


なんちゃってご飯だけど。


「おー、なんかこういうまともな飯って久々なんだけど」

「自分ではどんなん作るの?」

「え、焼いただけとか。
あとなんか今混ぜるだけでできるやつとかも売ってるからそれで、とか
なんなら外食か惣菜とかも多いけど。男の一人暮らしなんてそんなもんだよ」


ふーん、なるほど。
でも私もこの前将希に作ったのはベーコンエッグだったしな。
あ、ハムエッグ?ま、どっちも大差ないけどさ。


圭介は相当お腹減ってたのか?すごい勢いで食べてくれて、本当作った甲斐ありますよ。
なんかめっちゃ私彼女っぽいもん。いや、彼女なんだけどさ。
こういうことがなかなかなかったから、こんな些細なことでも嬉しいし、ちゃんと料理できてよかったというか、今まで将希に無理矢理作らされてきた甲斐あるってもんでしょ。

あれも花嫁修行だったと思うことにしよう。


「ごちそうさん!うまかったー」

「それはよかったです」


本当、私にも取り柄があってよかった。
後片付けでもしますかな。


「え、俺洗うよ?」

「え、圭介が洗うの?」

「いやまぁそれくらいはしますけど。普通に、毎日やってるよ?」


そ、そうだよな
食器くらいは普通毎日洗うよな。
じゃなきゃコップとかも困るだろうし。


「俺あとでやるあら置いといてよ。
今は座ってなよ、せっかく来たんだし」


せっかく、ってそんなこと言いつつご飯作らせたはいったい誰なんでしょうね。
……ま、アユさんに勝てたということが判明しただけよかったのかもだけど。


「……ねぇ、アユさんの写真とかないの?」

「は?普通彼氏の前の彼女の写真見たがる?」

「え、普通は見たがらないの?私彼氏自体初めてだからよくわかんないんだけど変?」

「普通は自分の彼氏が前の彼女との思い出全般取っとかれたら嫌だと思うけど。
真希は嫉妬とかしないの?」


嫉妬?そんなん…するに決まってんじゃん。
でも今はそんなことよりも、アユさんがどんだけ美人だったのかということに興味があるんだよ。

嫉妬なんてしてる場合じゃない。
私の好奇心の方が大事だ。


「……まぁ、写真でいいならあるけど」

「あ、とっといてるんだ」

「やっぱ嫌なんじゃん!」

「え、嫌じゃないよ。
ただまだ持ってるんだなぁと思っただけで」

「……嫉妬じゃないの?」

「嫉妬…ではないと思うけど」

「それはそれでつまんない」


圭介はそういってよっこらせと立ち上がり、クローゼットから卒アルを持ってきた。


「いや、卒アルって。
もはや全く嫉妬できないやつ」

「だって男はあんま写真とかとらないからこれくらいしかないんだよ」


ま、顔が見られるならなんでもいいさ。


「何組?」

「彼女は3年2組だった」


2組ね……


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