君がいて、僕がいる。
多くの人がレジャーシートや簡易テントを持ってきてるから、ほとんどのベンチが空席。
確かに、シートとかで寝転んで見た方が見やすそうだな…
「俺たちもシート買ってくればよかったね」
「あ、今同じこと考えてた」
「うそ、以心伝心じゃん」
「はは、そうだね。
でもベンチからでも見えるからいいじゃん」
「首はいたくなりそうだけど」
「それは仕方ないね」
でも、この空にもうすぐ星が流れる。
そう思うと楽しみで仕方ないよ。
「まーき。」
「ん、なに…っ、ちょ」
空を見上げていたら急に圭介の顔が目の前にあって、気づけば唇は重なっていた。
「こ、こんなとこでしないでよっ…」
「んー、だって
空を見る真希が幸せそうに笑っててかわいかったから」
な、なんなんだそれは!どんな理由なんだよ!
「それに、どうせ暗くて見えないよ。
みんな空しか見てないから」
「そ、そういう問題じゃないよ!」
外でキスなんて…私にはハードルが高すぎ!キス自体あんまりしたことがないのに…
「しちゃだめー?」
「だ、だめに決まってるでしょ」
「えー」
えーって…
普通は外でしないでしょ!?
私人のキスシーンなんて見たことないけど!!
「……やっぱ家帰ろ」
「えっ!?」
なんで!?今ここにきたばっかりなのに!?
「俺んち行こ」
「ちょ、待っ…なんで急に?
流れ星見ないの?」
「だって、たとえ流れ星に『真希と今キスがしたい』って願っても叶えてくれないでしょ。
なら今俺んち行った方がしてくれるでしょ?」
「そ、それだけの理由で…?」
「今の俺には切実な願いなの!」
……なんだ、それ。
そんなん、わざわざ願わなくてもいつでもできるじゃん…
…今はできないだけで
「ん、帰ろ」
「……仕方ないなぁ。
でも今日のがしたらまたしばらく見られないんだからね」
「そうだけど、でも
真希のそんな幸せそうな顔もなかなかみられたものじゃないから」
そういう圭介の顔もだいぶ幸せそうで…
なんだろ、いつもよりも好きで溢れてる…
「……私にもそんな顔するんだね」
「え、どんな顔?」
「幸せそうな顔」
「え!もしかして今まで伝わってなかったの!?
俺けっこう全力で出してたつもりだったのに」
…はい?なんだそれ。
「一回先輩後輩に戻ろうって言われたときなんてもう悲しくて悲しくて」
…まぁ、確かにあのときと比べたら幸せオーラ出てたけど。
付き合い始めなんてみんなあんなもんだろうし…
「でも俺も、真希が俺にそんな幸せそうな顔してくれるなんておもってなかったから、その顔見られただけで幸せなのかも」
「そ、そういうことは外では言わないで」
「じゃあ早く帰ろ」
「……うん」
私も、圭介のそんな顔が見られて
こんなに幸せで溢れるなら、今はそんな幸せに浸かりたい。
そんな圭介を見ていたい。
空なんて、見てる場合じゃないよ