溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
これ以上笑われないよう唇をキュッと噛みしめ、バッグの中からスマホを取り出した。

「引き受けてくれてありがとう。それで早速で申し訳ないんだけど、みんなにも了解を得るために、写真を一枚撮らせてもらってもいい?」

「いいよ」

彼の許可を得て、カメラを起動し写真を撮らせてもらおうとしたものの……。

「え、ちょっと佐々木君?」

なぜか佐々木君は私に寄り添った。それも肩と肩が触れるほどに。

思わぬ至近距離にすぐさま距離を取るものの、すかさず彼は詰めてくる。

「ほら、早く撮ってよ」

「いやでも私は……」

「いいから」

ぴったりと私に寄り添い、早く撮ってと急かしてくる。

だから私は一緒に写る必要ないのに。――って言葉が出てこない。

「じゃあ、撮るね」

「あぁ」

緊張しながらもカメラに視線を向け、パシャリと一枚撮る。

きっと佐々木君はカッコよく写っていると思う。問題は私だ。変な顔して写っていそう。

写真を撮るのは好きだけど、撮られるのは好きじゃない。昔から写真写りが悪いから。
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