溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「悪い、佐野。遅くなった」

聞こえてきた彼の声にトクンと胸が鳴る。

顔を上げれば急いで駆け寄ってくる佐々木君の姿を捕らえた。

それだけでドキドキして胸が苦しくなる。

さっきまで笠井君と佐々木君の話をしていたから?

「うわぁ、写真で見るより実物はヤバイくらいイケメンですね」

「う、うん」

ボソッと耳打ちしてきた笠井君に答えるものの、私の視線は佐々木君から逸らすことができなかった。

好きの境界線があるとしたら、どこからどこまでなんだろう。……ドキドキしている今の気持ちは?

私を見る笑顔の彼を前に、その答えがあと少しで出そうな気がした。
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