溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
爽やかな笑顔で言う佐々木君に、受付の女性はほんのりと頬を赤く染めた。

そのまま私を見た彼にドキッとしてしまう。

「佐野、こっち。……岡本さんの状態を説明させて」

「あっ……! 佐々木君、おばあちゃんは!? 大丈夫なの!?」

ハッとし心配で咄嗟に彼の腕を掴み尋ねると、佐々木君はそんな私の腕を掴み「落ち着いて、大丈夫だから」と力強い声で言う。

「岡本さんなら大丈夫。……ただ、入院が必要だから病状も含めて説明させて」

「入院……」

入院するほど悪いんだ。でも大丈夫なんだよね? 命にかかわる病気じゃないんだよね?

ホッとしたのも束の間、彼に掴まれたままの腕にかぁっと身体中が熱くなり、慌てて腕を引っ込めた。

「ごめっ……。取り乱しちゃってごめんなさい」

それにここは待合室。周囲からの視線を感じて床を見つめてしまう。
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