溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「か、笠井君。もしかして薫ちゃんとうまくいったの……?」

私が知らない間に、ふたりは付き合い始めたのだろうか。そんな疑問を持ち聞いたわけだけど、どうやら図星だったようで笠井君はわざとらしく喉を鳴らした。

「仕事にはお互い支障をきたさないようにと決めているので」

「……っ! やだ、言ってよ。おめでとう! でもいつの間に?」

ふたりは今日もいつもと変わらなかった。だから私はもちろん、他のみんなもふたりが付き合い始めたことに気づいていないと思う。

知りたくて尋ねると、彼は手を前に出した。

「すみません、そこらへんは勘弁してください」

口元を手で覆う笠井君からは、本気で照れているのが伝わってきて胸がキュンと鳴ってしまった。

「フフフ、そうだね。不躾な質問だったね。……でも本当におめでとう。よかったね、薫ちゃんに想いが届いて」

笠井君の気持ちを知り、これまで入社当時からふたりの教育係をしていたからこそ、感慨深いものがある。

笠井君の薫ちゃんへの態度は、愛情の裏返しだったんだと思うと余計にじわじわきちゃう。

私まで嬉しくなって笑っていると、笠井君はバツが悪そうに言った。
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