溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
今いる場所から飲食店まではそれほど距離がない。歩いて向かっている中、スマホが鳴った。

「誰だろう」

日中かかってくるのは、主に仕事関係者。すぐにバッグからスマホを取り出すと、電話の相手は彩音だった。

「え、彩音……?」

どうして急に電話なんて? もしかしておばあちゃんになにかあった?

慌てて電話に出た。

「もしもし彩音、なにかあったの?」

はやる気持ちを抑えながら尋ねると、電話越しからすぐに声が返ってきた。

『それはこっちのセリフだよ。お姉ちゃん帰ってこないんだもん。おばあちゃんと心配していたんだよ?』

心配って……? それに今はまだ仕事中。こんな時間に帰れるわけがないのに、なにを言っているの?

けれどすぐに思い出しハッとなる。

「あっ、病院っ……!」

足を止めてスマホを頬と肩で挟み、急いでバッグに中から手帳を取り出して確認すると、今日の十四時に予約が入っていた。

サッと血の気が引く。

「ごめん、今すぐ行くから……っ!」

バッグに手帳をしまい走り出したものの、すぐに彩音に止められた。
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