溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
『大丈夫だよ、もう私とおばあちゃん病院だから』

「えっ?」

再び足が止まる。

『お姉ちゃん、仕事が忙しいんでしょ? だったら私が付き添うから大丈夫』

「でも……」

そこまで言いかけて、この後打ち合わせが入っていることを思い出し、頭を抱えた。

だめだ、今さら断ることなんてできない。それにここからどんなに急いでも佐々木総合病院までは三十分以上かかる。とてもじゃないけれど、予約の時間には間に合わない。

「ごめん、彩音。やっぱりお願いしてもいい?」

申し訳ないけれど、ここは彩音に任せるしかないよね。

『もちろんだよ。しっかり先生の話を聞いてくるね!』

力強い声で言うと、彩音は『じゃあ受付を済ませちゃうから』と言い、電話を切った。

通話の切れたスマホを眺め、茫然となる。

私……なにやっているんだろう。

大好きなおばあちゃんの通院日を忘れるなんて。でも今日、彩音が家にいてくれてよかった。

佐々木総合病院は大きな病院だから、予約もなかなか取れないようだし。
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