溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「なにそれ。可愛くてここで押し倒したくなる」

「えっ!?」

ギョッとし咄嗟に離れると、彼はクククッと喉元を鳴らして笑う。

「冗談だよ。……ちゃんとベッドの上で抱かせて」

そう言うと佐々木君は私の腰に腕を回すと、足早に部屋へと向かっていく。

今から佐々木君とするんだって思うと、心臓が口から飛び出してしまいそうなほど緊張する。

でも、本当の意味で彼と早く両想いになりたい。

真っ暗な部屋の中に入ると、彼とドアの間に挟まれた。

「ごめん、キスだけさせて」

次の瞬間、荒々しく塞がれた唇。何回か佐々木君とキスを交わしているけれど、こんなに余裕のないキスは初めてで、ドキドキする。

私も彼の首に腕を絡ませて背伸びし、必死に応えていく。

「悪い、俺……余裕ない」

キスの合間に掠れた声で囁くと、素早く私の身体を抱き上げた。

「キャッ」

咄嗟に彼の背中にしがみついたものの、あっという間にベッドに下ろされた。

カーテンの隙間から漏れる月明かりに照らされた佐々木君は、いつになく妖艶で胸が苦しくなる。
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