溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
完璧だと思っていたけれど、父さんにもそういう苦い過去があるんだと思うと、ホッとしたかもしれない。話せてよかった。

俺が今、抱えている想いや葛藤も人間として当たり前なものだよな。

独占欲強すぎると悩んでもしたけれど、好きなんだから当然の感情だろ。環奈が好きだから心配にもなるんだ。

そう思うと心がスッと軽くなる。

父さんの言う通り、明日もオペがある。素直に従いガイドブックを閉じて眠りに就いた。



その後、環奈と話し合って旅行先を決めて宿も予約した。あとは旅行に向けて日程を組むだけ。

その最中、いよいよ同窓会当日を迎えた。

「うん、もう大丈夫そうですね」

聴診器を外し、不安げな患者を安心させるように術後の経過を説明していく。

「三日後に検査結果が出るので、それで問題なければ退院して大丈夫です」

「本当ですか? ありがとうございます」

患者とその家族は安心し、笑顔を見せた。

患者や元気になって退院していくたびに、医者になってよかったと思わされる。この瞬間があるから、辛い仕事も頑張れるんだと思う。

「お大事になさってください」

カンファレンス室から出ていく患者と家族を見送り、カルテを作成していく。
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