溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
彼女の口から出た言葉とは思えず、目を白黒させてしまう。

「なんだ、佐野。お前独占欲強いのか?」

笑いながら尋ねる先生に、環奈はバツが悪そうに言った。

「そうみたいですね。……だからいつもヤキモキしていますよ? 彼、ちょっと一緒に街を歩いただけで注目集めちゃうんですから。……あ、先生このことは真太郎に言わないでくださいね!?」

慌てて釘を刺す環奈に、先生は「わかったわかった」と言いながらもずっと笑いっぱなし。

「昔から思っていたけど、佐野お前……俺のことを先生ではなくて、父親として見ていなかったか? なんでも打ち明けてきたよな」

環奈は言葉を詰まらせた。――なんとなく彼女の今の気持ちが理解できる。

きっと環奈は先生が好きだからこそ、なんでも話せていたんだと思う。それなのに勘違いされていたなら悲しいよな。

高校生の頃、どれだけ環奈が先生のことを好きか嫌になるほどわかっているからこそ、俺まで胸が痛んだ。

だけど環奈は平気なフリをして笑顔を見せた。
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