溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
驚き、目を丸くさせる佐々木君に当時のことを思い出しながら話していく。

「今だから言うけど、友達……ううん、ほとんどの子がみんな佐々木君に憧れていて、見かけるたびに騒いでいたんだよ? 佐々木君、すっごいモテていたよね」

噂で何度も誰かに告白されたと聞いていた。廊下を歩いているのを見かけるたびに、歓声が上がることもあった。

でも佐々木君はいつもクールで、それがまた人気に火をつけていたよね。

懐かしく思っていると、彼はボソッと言った。

「たったひとりにモテないと意味がないけどね」

「えっ……?」

意味深なことを言う彼と目が合うと、佐々木君は少しだけ頬を緩ませた。

「なに食べたいか決まった?」

「あ、ごめんちょっと待ってて」

慌ててメニュー表を見るものの、さっきの言葉が気になってなかなか決まらない。

十年前の告白があるから、自惚れたことを考えてしまう。……たったひとりにモテないと意味がないって、私に……?って。

そこに思いがいきつくと、必死に消し去った。
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