溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「イケメン、いるじゃないですか!」

「どこに?」

すかさず尋ねると、彼女はキラキラした目を私に向けた。

「ドクターですよ、ドクター!! 環奈先輩、おばあさんの主治医とかどうですか? イケメンいません?」

「……えっ!?」

薫ちゃんの質問に真っ先に頭に浮かんだのは佐々木君。佐々木君なら特集するに値すると思う。

「看護師でもいいですよ? 今、男性看護師も多いですよね!? お見舞いに行った際、いませんでしたか?」

興奮気味に詰め寄る薫ちゃんにのけ反る。

「えっと……いない、かな」

「そう、ですか。残念」

シュンとなる彼女の頭を笠井君は、「バカ、佐野先輩の気持ちを考えろ」と言いながら、コツンと叩いた。

「痛っ……! 殴ることないじゃない! ……っと、環奈先輩すみませんでした」

笠井君に文句を言ったものの、ハッとし薫ちゃんはすぐに謝罪してきた。

「ううん、気にしないで。……まだ一回しかお見舞い行っていないからわからないけど、今度から注意深く見てくるね」

「本当ですか!? ありがとうございます!!」
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