溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
ゆっくりでいい、今の俺を好きになってほしい
「時間、大丈夫なら座って話そうか」

佐々木君にそう言われ、向かった先は病院の正面にある大きな公園。

夜の公園はちょっと不気味だけど、ライトが多く、それほど暗さを感じない。

ブランコや滑り台、シーソーといった遊具が設置されている園内。小高い丘の下には芝生が広がっていて、周囲には季節の樹木が植えられている。家族で一日過ごせそうだ。

彼の後に続いて公園内を進んでいくと、佐々木君は自販機前で立ち止まり、飲み物を二本購入した。

「はい」

差し出されたのはピーチティーだった。

「これ……」

受け取りつつも、まじまじと眺めてしまう。

「佐野、高校時代、こればかり飲んでいなかった?」

「……うん、飲んでた」

懐かしい、高校にあった自販機で毎日のように買っていた。なぜか当時はこれにハマっていて飽きずに飲んでいたんだよね。

でもまさかそれを今も佐々木君が覚えてくれていたなんて……。

些細なことで心の奥が温かくなる。

「ありがとう。……あ、お金」

「いいって、これくらい」

「ごめんね、ごちそうさまです」

お礼を言うと佐々木君はこっちと手招きする。後ろをついていくと、彼は近くになったベンチに腰掛けた。
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