社内恋愛狂想曲
結局、散々振り回された挙げ句カップルは別れ、その途端彼に興味をなくした奥田さんは、「彼女を傷付けたのにあなたと付き合うなんてできない」とのたまって彼を捨て、別の人をターゲットにしたらしい。

私はまったく気付いていなかったけれど、奥田さんのあざとさは新入社員の頃から完成されたものだったようだ。

『リアル魔性の女』とでも言うべきか。

「でも護には彼女がいるからやめておけって奥田さんに忠告したのは瀧内くんなんでしょ?」

奥田さんの話を聞いているときに不思議に思ったことを率直に尋ねると、瀧内くんはなんとも忌々しそうな表情で首を横に振った。

「僕はただ“また彼女持ちの男か”って言っただけですよ」

「“もっと自分だけを大事にしてくれる人を見つけろ”的な……」

「そんなこと、僕が言うと思いますか?“どうせやるなら他人の迷惑にならない場所を選べ”って言ったんです」

「あらー……?話が違うなぁ……」

これもまた奥田さんの作り話だったようだ。

奥田さんの思惑にまんまとはまっていた自分が情けない。

しかし護を本気で落としにかかっているということなら、護の見ている前で瀧内くんをしつこく食事に誘う理由はなんだ?

「だったら瀧内くんはなんで奥田さんから食事に誘われてるの?」

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