社内恋愛狂想曲
「それはあり得ますね。だけど伊藤先輩以外にあてはあるんですか?」

「あてというか……母から結婚を急かされてて、お見合いしろとか、付き合ってる人がいるなら連れてこいとか言われてるんだ。この際だからお見合いもありかなぁって思ったりしてね」

私がお見合いしたいと言ったら、母は二つ返事でOKして、すぐさま相手を見つけてくるだろう。

見ず知らずの人でも何度か会えば好きになるかも知れないし、誠実で優しい人となら慎ましく心穏やかに暮らせると思う。

結婚するなら、絶対に浮気しない、嘘をつかない人がいい。

「そういえば橋口先輩は昨日帰ってるはずなのに、佐野主任とも奥田さんとも一緒じゃなかったんですね」

「そうなんだよねぇ……。新たなお気に入りでも見つけたのかなぁ。どこで誰と何してようが護とは別れるつもりだし、あとは奥田さんの好きなようにしてもらえばと思ってたんだけど……やっぱりこのまま引き下がるのは悔しいよね」

単純に割り切れない気持ちを吐露すると、瀧内くんは誰が見てもハッキリとわかるくらいに口角を上げてニヤリと笑った。

昔映画か何かで見た悪魔の嘲笑にそっくりだ。

「だったらやってみますか?」

「……やるって何を?」

「あちらはうまく騙せてると思ってるんですから、それを逆手にとってやればいいんですよ」


< 131 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop