社内恋愛狂想曲
私が今まで見てきた同僚の結婚報告のほとんどは、まず最初に“結婚します”が来て、その後にプロポーズの言葉とかシチュエーションなんかの、いわゆる惚気話が延々と続いて、一応の〆として“そういうわけで会社を辞めます”とか“共働きで頑張ります”の業務連絡があった。

だけど葉月は「結婚します」でも「寿退社します」でもなく、まず「会社を辞めるかも」と言った。

そして相手がとてもいい人であることは伝わって来たけれど、相手のことをすごく好きだとか、結婚を控えた女性の放つ幸せオーラらしきものがまったく感じられない。

それなのにホントに好きになったという元カレの話をしているときの葉月からは、自分の感情をコントロールできなくなるほど好きだったとか、好きな人に自分のキライな自分ばかり見せてしまったつらい気持ち、とにかく好きで好きでどうしようもなかったことが痛いほど伝わってきた。

茂森さんとの結婚をずっと決断できなかったのはどうしてなのかとか、急に結婚してもいいと思ったのはなぜなんだろうとか、やけに引っ掛かることばかりだ。

葉月は本当に茂森さんとの結婚を望んでいるんだろうか?

彼のことがまだ好きだけど、もうどうにもならないから、あきらめるために茂森さんと結婚して大阪に帰ると言っているんだとしたら、それは葉月にとっても茂森さんにとっても幸せだと言えるだろうか。

一度気になりだすとモヤモヤして、お節介だとわかっていても気にせずにはいられなくなってしまう。

< 157 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop