社内恋愛狂想曲
「一緒に暮らして物理的に触れ合っとけば、男としても好きになるんちゃう?女って多分、そういうとこあるやん?体から情が湧くって言うんかなぁ」

それは簡単に言うと、別に相手のことが好きでなくてもセックスはできるし、何度も体さえ重ねていればそのうち体だけでなく相手のことを好きになるってことか。

昔は祝言の当日に初めて会った人に嫁いで子供をたくさん産んだという話も珍しくなかったと聞いたことがあるし、現代ではセフレが本命に取って代わることもある。

護が私より奥田さんに夢中なのも、奥田さんが護に本気になったのも、結局は体の相性がいいからなんだろうし、葉月の言い分にうなずけなくもない。

だったら私が仲のいい同僚くらいにしか思えない伊藤くんと結婚しても、うまくいく可能性もあるということだろうか。

「結婚ってそんなもんなのかなぁ……」

「そんなもんやろ。なんぼ大恋愛して結婚したかて、20年もすれば空気やでって、うちのオカンがよう言うてた。おらんと困るけど、おっても気付かんて」

「空気ねぇ……」

嫁入り前なのに結婚に対してこんなに夢が持てなくていいのかとも思うけど、もう若くはないんだからバカみたいに甘い夢は見ない方がいい。

結婚式のスピーチなんかで、男の人は「結婚はゴールではなくスタートだ」と言いたがるけど、女の人はもっとシビアだ。

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