社内恋愛狂想曲
「もしもしー、木村ですー」

相手は上司だというのに、一声で酔っぱらいの大阪人だとバレる電話の出方だ。

おそらく三島課長は仕事に関係することで急ぎの用があるから電話してきたと思うのだけど、こんなに酔っている葉月が三島課長の話を理解できるのか心配になる。

「ゆうあい生命の納品書ですかぁ?そんなんとっくの昔にできてますやん!私のパソコンの中ですわ。朝イチで?ハイ、よろこんでー!」

大阪の居酒屋みたいなノリになってはいるけれど、なんとか会話は成立しているようだ。

明日の朝までに忘れていなければいいけどと思いながら聞き流していると、葉月がまたコップに残っていたビールを一気に飲み干して、「三島課長、お話が!」と叫んだ。

今度は一体何を言い出すつもりなのかとハラハラする。

「私、結婚して大阪帰ることになったんで、会社辞めます!」

『えっ、結婚?!会社辞めるって……ええっ?!』

葉月の突然の寿退社宣言に驚いた三島課長の声が、スピーカーにしてもいないのにハッキリと聞こえてきた。

三島課長の驚きぶりに葉月は至極ご満悦の様子だ。

「今、志織と飲んでるんですけど課長も来ます?じゃあ志織に代わりますねぇ」

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