社内恋愛狂想曲
「三島課長、信号変わります。前を向いてください」

「お、おお……」

この中で冷静なのは瀧内くんだけらしい。

「葉月は俺のこと全然信じてくれなかったくせに、俺が転勤になって会えなくなったら他の男に乗り換えようとしたじゃん」

「はぁ?私はそんなことしてへんわ!急に音信不通にしたんはそっちやろ!」

「だからそれは!長期出張中に商談相手がコーヒーこぼして俺のスマホに思い切りかかって壊れたからだよ!急いで新しいの買ったけど、連絡先がわからなくて電話もメールもできなかったから出張終わってすぐに会いに来たけど、葉月は他の男とイチャイチャしてただろ!」

「私が他の男と?はぁ?そんなん知らんわ!」

何か話がややこしいことになっているけれど、急に伊藤くんと連絡が取れなくなった理由はわかった。

しかしそのあと伊藤くんが会いに来たことも、葉月に他の男の人がいたことも、葉月からは聞いていない。

だったら伊藤くんの会った男の人って……誰だ?

「三島課長、僕コーヒー飲みたいんでそこのコンビニ寄ってもらえます?それに木村さんに水飲ませといた方がいいと思います」

「あ……ああ、うん、そうだな」

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