社内恋愛狂想曲
瀧内くんは飲み物を配りながらコンビニの方に視線をやって、納得した様子で「ああ……」と呟いた。

私も瀧内くんと同じように窓の外を見る。

伊藤くんは店内で何かを探しているようだ。

お店の窓には、雑誌の最新号や季節限定商品の他に、コンサートチケットなどの宣伝ポスターが貼られている。

その他に目に付くものはごみ箱とか証明写真を撮影する機械くらいで、それを見ただけで瀧内くんに何がわかったのか、私にはさっぱりわからない。

「なぁ、佐野……あの二人の喧嘩っていつもあんな感じなのか?」

三島課長は缶コーヒーのタブを開けながら、コソッと私に尋ねた。

「いえ、私も初めて見たんです。二人が付き合ってたことも知らなかったくらいで」

「確かに意外な組み合わせだよなぁ……」

意外過ぎる組み合わせだったから、私は両方から話を聞いているにもかかわらず、葉月と伊藤くんがお互いの話をしていたことにまったく気付かなかったんだと思う。

瀧内くんはミネラルウォーターのペットボトルのキャップを開けて葉月に差し出した。

「木村先輩、水飲んでください」

「うむ、苦しゅうない!近う寄れ!」

葉月は殿様にでもなった気分なのか、瀧内くんの頭をわしゃわしゃっと撫で回した。

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