社内恋愛狂想曲
「瀧内は気が利くなぁ。かわいいやっちゃ!」

瀧内くんは子犬にでもするかのように頭を撫で回していた葉月の手をガシッとつかみ、自分の頬に押し当てる。

「そうですか。だったら僕と付き合いますか?」

「えっ?」

「僕とならつまらない喧嘩もしないと思うし、伊藤先輩より僕の方がずっと木村先輩を大事にしますよ」

こういう台詞を言わなさそうな人が言うと、本気で言っているのか、それとも冗談のつもりなのかがまったくわからない。

おまけにきれいな顔立ちの瀧内くんに至近距離で言われると、破壊力がすごくて思わずクラッと来てしまいそうだ。

葉月も返す言葉に困ったのか真顔になって、スッと手を引っ込めた。

「もちろん冗談です。本気にしましたか?」

「……やっぱり全然かわいくないわ」

「そうでしょう。僕も成人男性ですからね。だけど木村先輩は意地を張らずにもうちょっと素直になって、甘えるくらいの方が断然かわいいと思いますよ」

いつもクールで他人には興味なさそうな瀧内くんが、こんな甘いことをサラッと言えるなんて思わなかった。

葉月も三島課長もかなり驚いているようだ。

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