社内恋愛狂想曲
三島課長は状況をまったく把握できていなかったのだから、しかたないと言えばしかたないのかも知れない。

泥酔した部下からいきなり結婚するから会社を辞めると言われたり、部下同士が結婚するしないで喧嘩を始めたり、三島課長にとっては何がなんだかわからなかったはずだ。

「木村は結婚するって決めた相手に電話しようとして、間違えて俺にかけてきたんですよ。俺は支社に転勤する前にプロポーズしたら断られたのに、いきなりアンタと結婚するなんて言うからムカついて、俺と結婚しろって言っただけです。だから木村は俺と結婚なんかしませんよ」

「いや、でも木村もかなり酔ってたし、結局その話はできなかったから、本当か嘘かもわからなかったな。また明日にでも会社で聞いてみるよ」

三島課長はなんとかフォローしようと必死で取り繕うけれど、伊藤くんは何か思い当たる節があるらしく、眉間にシワを寄せ険しい顔をしている。

「……葉月のやつ、あの男とまだ続いてたのか」

伊藤くんはポツリとそう呟いて大きなため息をついた。

……あの男って、誰?

葉月が嘘をついたり自分に都合の悪いことを隠したりしていなければ、葉月に別の男がいたなんていうのは伊藤くんの勘違いだと思う。

しかし二人の問題に私が口をはさんでもいいものだろうか?

< 183 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop