社内恋愛狂想曲
彼氏が浮気してるのも知らずに結婚を夢見てる馬鹿なアラサー女とでも思ってる?

……いや、ここまで来ると被害妄想になるだろうか。

「この雑誌、人気ありますよねぇ。私の友達もピンクの婚姻届が可愛いからって言って買ってましたよ、結婚の予定もないのに」

「へぇ……そうなんだ。私は婚姻届じゃなくて、中身が良さそうなら買おうかなぁって思って確認してたんだけどね」

本当は珠理の式を挙げる結婚式場が気になっただけなのに、中身が気になるから立ち読みっていうのは貧乏くさいと思われそうなので、少しだけ見栄を張る。

奥田さんはほんの少しだけ眉間にシワを寄せた。

これは予想外の反応だ。

「佐野主任、近々結婚されるんですか?」

結婚の予定はないけど、この際だからもう少しだけ見栄を張って焦らせてみようか。

「親も心配してることだし、私もそろそろ結婚とか将来のことを具体的にね……。こういう雑誌があると、どんな形式で式を挙げるかとか、式場選びとか、彼といろいろ相談しやすいかと思って」

結婚を控えた世間のカップルは、おそらくそうしているんだろうという憶測で言ってみる。

なぜなら私は、護と“いつか結婚したら”というようなふんわりした未来の話をしたことはあっても、具体的な結婚の話をしたことがないからだ。

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