社内恋愛狂想曲
ヨーロッパには古くから伝わる『サムシング・フォー』という伝統的な習慣があり、結婚する時に花嫁に必要とされる4つのもの(新しい物、思い出の物、借りた物、青い物)を指すそうだ。

日本でも結婚するときに花嫁が幸せを願って青いものを身につける習慣の由来は、この『サムシング・フォー』から来ている。

これがどこの国のどんな習慣であるとか、4つのうちのひとつしか知らなくたって、大切な人と幸せになりたいと願う気持ちは、国も年齢も関係なくみんな同じということだろう。

もちろん新郎新婦の結婚を見守り祝福する側の人間である私も、二人の末永い幸せを願っているからこそ、こういうものをプレゼントしたいと思うわけだ。

アラサーの私にはかわいすぎるリングピローも、10代で花嫁になる珠理にはちょうどいい。

「決めた、これにしよう」

「結婚準備してんの?」

「そう。誰かさんがいつでも来いって言ってくれたからね」

ちょっと意地悪な言い方をすると、伊藤くんはばつが悪そうな顔をした。

「あー、そのことなんだけど……このあとちょっといいか?」

< 222 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop