社内恋愛狂想曲
全然会話が噛み合わなかったけど、それは私と瀧内くんが違う次元にいて、それぞれ別の相手と話していたからじゃないかなどとSFじみたことを……いや、もはやこれはホラーなのではと考える。

狐につままれたような気分で首をかしげているとスマホの着信音が鳴り、驚いてビクッと肩を跳ね上がらせながら発信者が瀧内くんであることを確認して、おそるおそる電話に出た。

「もしもし……?」

『瀧内です、先ほどはすみません。実は帰り際に部長につかまってしまって、会議室で明日の会議の資料作りを手伝わされているんです。部長の愚痴を聞かされて連絡するタイミングがなかったので、佐野主任からの電話で取引先からの電話のフリして抜けてきました』

「なんだ……ホラーじゃなかったんだ」

『ホラー?何バカなことを……。頭大丈夫ですか?』

元直属の上司に向かってそれはないだろうと思いながらも、非現実的なことを考えていたのは確かだから何も言い返せない。

私も三島課長と同じように、瀧内くんに護とのことを相談してから立場が逆転しているような気がする。

『あと1時間もかからないとは思うんですが、どうします?せっかく待ってもらいましたけど、遅くなると申し訳ないので別の日にしますか?』

腕時計の針は6時半の少し手前を指している。

< 224 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop