社内恋愛狂想曲
わざと意地悪な言い方をすると、伊藤くんはテーブルに額を打ち付けそうなほど深々と頭を下げた。

「……申し訳ありませんでした。返す言葉もございません」

プロポーズを真に受けて伊藤くんとの結婚を本気で考えていたわけじゃないけど、あれはさすがに非常識すぎた。

葉月も私が伊藤くんからプロポーズされたことを知っていたから、余計に意地になってしまったような気がしなくもない。

なんにせよ、葉月と伊藤くんが今もお互いに好きなのだということはわかったけれど、二人とも意地を張ってどんどんややこしくしてしまうのだろう。

こじれてしまった糸をなんとかほどいて、二人がもう一度向き合えるように手助けができればいいのだけど。

そのためには、二人がすれ違った経緯とか、その原因を少し詳しく聞き出す必要がある。

余計なお世話になるかも知れないけれど、私はこういう性分なのだからしかたがない。

ほんの少しだけお節介を焼いて、あとは二人で話し合って解決してもらうのが理想だ。

しかし果たしてそんなにうまくいくだろうか。

あまり自信はないけれど、とりあえず伊藤くんから事情を聞くことにしよう。

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