社内恋愛狂想曲
「そう思うなら潔くあきらめる?葉月は幼なじみと結婚して大阪に帰るって言ってるよ。それとも自分の方が葉月を幸せにできるって自信ある?」

「当たり前だ、あの男より俺の方が絶対に葉月のこと好きだからな!葉月は絶対誰にも渡さない!」

伊藤くんの言葉を聞いて、瀧内くんが葉月の腕を引き寄せ背中を押した。

葉月が瀧内くんに押される格好で一歩前に出ると、その気配に気付いた伊藤くんが顔を上げてそちらを見た。

伊藤くんは驚きのあまり座ったまま後ずさり、葉月は恥ずかしさで顔を真っ赤にしている。

瀧内くんは透かさず葉月を伊藤くんの隣の席に押し込んだ。

「伊藤くんって駆け引きがヘタだよね。葉月の気持ちを知りたいってだけの理由で、私と結婚する気もないのにプロポーズするし……。あれじゃ葉月は余計に意地になっちゃうよ。ヘタに葉月の気を引こうとしないで、素直になって自分の気持ちを今みたいに正直に言ったら?」

「素直になれば周りを巻き込まずに一言で済むんですよ。木村先輩にも言えることですけどね」

瀧内くんはそう言って私の隣の席に座り、何事もなかったようにメニューを広げる。

「そうだよ。葉月も私と話したときみたいに、思ってることは伊藤くんにちゃんと言った方がいい。お互いに誤解してたり行き違ったりしてるところもあるみたいだから、落ち着いて話し合ってみたら?」

< 237 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop