社内恋愛狂想曲
「……さっきのは本心だから」

「……うん」

いけないと思いつつも、ひとつのメニューを一緒に見ながら二人が小声で交わしている会話に、老婆心からついつい耳をそばだててしまう。

「あいつと別れて俺のところに戻ってきて欲しい」

「……別れろって言われても……」

「やっぱり俺よりあいつの方が好きか?」

「ちゃうやん。付き合ってへんから別れようがないねん」

「えっ?付き合ってないって……プロポーズされたんだろ?」

「されたけど……元々、幼なじみ以上には思われへんから断るつもりやったし……」

チラリと横を見ると、私と同様、瀧内くんも二人の会話がやはり気になるらしい。

メニューを開いてはいるものの、さっきから視線は一点に集中したまま止まっている。

「だったら俺が会いに行ったとき、あいつはどうして上半身裸だったんだ?俺はあいつに“葉月は人前に出られる状態じゃない”って言われて、部屋の奥から葉月が“要らんから帰ってもらって”って……」

「はぁ?ホンマになんのことかサッパリわからんねんけど、それいつの話?だいたいシゲがうちで服脱いだことなんか……あっ」

< 239 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop