社内恋愛狂想曲
「わかればいいんです。何を注文するか早く決めてください。佐野主任もです」

「はい」


結局私のお節介で、料理を注文して待っている間に、伊藤くんが気になっている上半身裸の茂森さんに門前払いを食らった件について、葉月から詳しく話を聞いた。

ことの顛末はこうだ。

伊藤くんからの連絡が途絶えて1か月近く経った頃、何年も会っていない友人が大阪からこちらに来るタイミングで、例の大阪から出てきた友人たちと久しぶりに集まることになった。

その日、葉月は朝からずっと体調が悪かったけれど、この機会を逃したら次はいつその友人と会えるかわからないし、毎日ひとりになると伊藤くんのことで延々と悩んで疲れていたので、とりあえず参加することにした。

しかし友人たちと会って30分も経たないうちに、ひどい悪寒と吐き気がし始めたので、早々に切り上げ茂森さんに自宅まで送ってもらった。

自宅に着く頃にはかなり熱が上がり、ひとりで歩くのもつらい状態だったので茂森さんが部屋の中まで付き添ってくれたのだが、ずっと我慢していた吐き気がこらえられなくなり、体を支えてくれていた茂森さんの服を思いっきり汚してしまった。

茂森さんがトイレに葉月を抱えて行って背中をさすっていたところに、タイミング悪く伊藤くんがやって来た。

茂森さんは玄関モニターで伊藤くんの姿を確認すると、汚れた服を脱いで玄関のドアを開け、“葉月は今、人前に出られる状態じゃない”と言った。

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