社内恋愛狂想曲
レジと袋詰めを済ませ、ベンチに座ってコーヒーを飲んでいると、瀧内くんがいつの間にかかごに入れていたチョコを袋から取り出した。

「早速ここで食べるの?」

「これから荷物運びですからね。ここらで糖分補給しとかないと、三島課長の家までもちませんよ」

瀧内くんは笑いながら私の手を取って、手のひらにふたつチョコを乗せた。

さりげなくこういうことをされると、やっぱりかわいいなと思う。

私には兄しかいないからわからないけれど、弟がいたらこんな感じだろうか。

「それで、橋口先輩とはその後どうです?連絡とかあるんですか?」

「いやー……ないねぇ……」

護の浮気現場を目撃してからちょうど1週間が経ったけれど、その間に私が護と会ったのは1回きり、月曜日の夜にマンションの前で護が私の帰りを待っていたあのときだけだ。

護から会いたいとは言ってこないから、私も連絡をしていない。

だけどあんな風に気まずい感じで別れたんだから、何かしらのフォローがあってもおかしくないんじゃないかと思う。

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