社内恋愛狂想曲
「好きだの結婚したいだのなんだかんだ言ってるけど、ホントは私のことなんかどうでもいいんだろうなって思うよ」

「どうしてです?」

「平気で嘘はつくし、私の扱いが完全に浮気相手より格下だもんね。奥田さんが言うように、私に護を繋ぎ止めておくだけの魅力がないからかな」

自分で言ったくせに、そんなことを言う自分の不甲斐なさが情けなくて、自嘲気味な笑いがもれた。

すると瀧内くんはまた私の手を取り、もうひとつチョコを乗せる。

「人の好みや価値観はそれぞれです。少なくとも僕には奥田さんが佐野主任より魅力的な女性には見えないし、佐野主任は佐野主任だからいいんですよ。これあげるから元気出してください」

「あ……ありがとう……」

大人になると歳を重ねるごとに弱音を吐くことが許されなくなっていくから、そんな優しい言葉で励ましてもらうことには慣れていない。

だから余計に、瀧内くんの言葉はささくれた心にじーんと染みた。

チョコレートひとつで歳下の部下になだめられる私もどうかと思うけど、たまにはこんな風に私の存在価値を認めてもらえると、前向きに頑張れるような気がする。

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