社内恋愛狂想曲
まるで一昔前のプロポーズみたいな言葉に驚いて手を滑らせ、うっかりお玉を落としてしまった。

三島課長もそれに気付いたのか、あたふたしながら小皿を調理台の上に落とした。

その音がガチャンとキッチンに響き、私も三島課長も必要以上に驚いてしまう。

「いや、あの……それくらいうまいよ」

「……お気に召したようで良かったです」

たかが味噌汁くらいで大げさだとは思うけど、そんな風に誉めてもらえたことが嬉しくて、生まれて初めて人並みに料理ができて良かったと、心の底から思った。


私と三島課長が朝食の支度を終えてコーヒーを飲んでいると、葉月が慌ててリビングに駆け込んできた。

「おはよう」

「おはよう、やないよー!なんで起こしてくれんかったん?」

いやいや、起こしましたよ?

「起こしたけど起きなかったから」

「ほんまに?!」

葉月は三島課長がそこにいることに気付き、慌てて両手で顔を覆った。

そんなことしなくても葉月は寝起きの顔すらも美人なのに、本人にはその自覚はないらしい。

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