社内恋愛狂想曲
「……相手は俺のことなんか眼中にないみたいだし、見込みはあまりなさそうだけどな。それでもあきらめきれないから、俺の方を見てくれるのを何年も黙って待ち続けてる状態だ」

「何年もですか?」

「往生際が悪いんだよ、俺は。そういうところは、さっきの映画のあいつと一緒か。もちろん壊して奪うとか、そんな手荒なことはしないけどな」

三島課長の話を聞いて、三大武将の“ホトトギス”を思い出した。

見込みがない恋なんかさっさとあきらめて次の恋に進めるのは『鳴かぬなら殺してしまえ』と言う信長タイプで、どんな手を使ってでも自分のものにするのが『鳴かせてみせよう』と言う秀吉タイプ、三島課長みたいにただひたすら待ち続けるのが、『鳴くまで待とう』と言う家康タイプなんだと思う。

それを話すと、三島課長はおかしそうに笑いだした。

「家康か……。だけど俺はもう悠長に待っていられない状態だから、家康の皮を被った秀吉になろうかな」

「家康の皮を被った秀吉って……それ、どういう意味ですか?」

「もっと鳴かせる努力をした上で、ホトトギスが自ら鳴くのを待つことにするよ」

その言葉の意味は、わかるようなわからないような感じだったけど、それでも三島課長は好きな人をあきらめたりはしないということだけはわかった。

だったら私は……信長?

護とは早急にけじめをつけて、今度こそ将来のことを一緒に考えられる誠実な人を見つけよう。


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