社内恋愛狂想曲
私の前に並んでいた中村さんはその声を聞き逃さず、ここぞとばかりに冷やかす。

「あれ?志織さん、もしかして潤に惚れ直したんじゃない?」

「ええ、まぁ……」

打ったボールを拾って最後尾に並んだ三島課長が透かさず中村さんを小突いた。

「太一、余計なこと言うな」

中村さんは「へいへい」とおどけて肩をすくめる。

前方ではメンバーたちが次々に見事なアタックを決めている。

このチームは私が思っていたよりレベルが高そうだ。

ここで私のアタッカー魂に火が付き、負けてなるものかと思いきりジャンプして右腕を振りかざしたものの、思うように打ち込めない。

全盛期に比べるとかなりへなちょこなアタックに愕然としつつ、ボールを拾ってまた最後尾に並ぶ。

そうか、私にブランクがあるだけでなく、あの頃よりネットが高いのか。

次はもっと高く跳ぼうとさっきよりも両腕を大きく後ろに伸ばし、その反動を利用して思いきり振り切ったけれど、2度目のアタックも不発に終わった。

次こそはと闘志を燃やして順番を待っていると、三島課長が心配そうな顔をして私の肩を叩いた。

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