社内恋愛狂想曲
「私な、高校生の頃に読モやってたんやけど……周りの読モ仲間の子なんかも、家に泊まりに行って夜に化粧落としたら、みんなたいして美人やなかった。黒目を大きくするコンタクト入れて、アイラインとかつけまとか、ガッツリアイメイクしたら、みんなあんな顔になるねん。あれはもうイリュージョンの領域やで」

「ほう……」

葉月がモデル張りの美人だとは初対面のときから思っていたけれど、若かりし頃に読者モデルをしていたということは初耳だった。

「だけど葉月は、ガッツリアイメイクしてないよね?」

「やろうと思えばできるけど……そういうの、私は似合わんねん。やり過ぎるとニューハーフかヤマンバみたいになるから、ガッツリ系のアイメイクはせえへん」

ということは、葉月の美しさは天然モノということか。

「そういえば……モナちゃんがコンタクト落として探してたら遅くなったって言ってた」

「ほらな、地味顔の子ほど化粧映えして変身するんよ。だいたいバレーやるのにあんなメイクいらんやろ?汗かくし、普通のメイクやったら思いきり崩れるから、ごっついウォータープルーフのやつ使(つこ)てるんやで」

それは好きな人に少しでもきれいに見られたいという乙女心というやつでは……?

だとしたら、そんな健気な努力をしているモナちゃんを騙すのが余計につらくなってきた。

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