社内恋愛狂想曲
「やっと見つけた!三島課長、ここにいたんですね!」

下坂課長補佐の顔を見たとたん、三島課長は気まずそうに口ごもる。

「……お呼びのようですね」

私がそう言うと、三島課長は大きなため息をついた。

下坂課長補佐はなんのためらいもなく三島課長の隣に座り、私の方を見た。

「あら……?この間三島くんの家の前でお会いした方ですよね?この会社の社員だったんだ」

「はい……。商品管理部の佐野です……」

「私、今日の人事異動で営業部の二課に配属された下坂芽衣子です。よろしくね」

下坂課長補佐は私に笑いかけたあと、今度は三島課長の目を見た。

その目は何かを訴えているように見える。

「……佐野も前は営業部の二課にいて一緒に仕事してたんだ。俺の3つ下の後輩。今は一緒のサークルでバレーボールやってる」

三島課長は下坂課長補佐が何も言わないのに私を紹介して、どういう関係なのかを説明した。

なるほど、さっきのアイコンタクトだけで求められていることを察したわけだ。

……目を見ただけで相手の言いたいことがわかるなんて、まるで夫婦みたい。

自分でそう思っておきながら、二人の絆とか信頼関係の深さを見せつけられたようで勝手に落ち込む。

そんなの、わざわざ私の目の前ですることないのに。

< 495 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop