社内恋愛狂想曲
「お疲れ様。今帰り?」

「はい……。お疲れ様です」

「資料室に行ってたんだけど……この時間だから、もしかしたら会えるんじゃないかと思ってた」

“会えるんじゃないかと思ってた”ってことは、三島課長も私に会いたかったっていうこと?

……なんて、少しくらい自惚れてもいいかな?

「今日も忙しくて……残業してたらあっという間にこの時間です」

「そうか……。俺ももう少ししたら帰るけど……」

三島課長はそう言って腕時計を見る。

時計の針は8時半を少し過ぎたところをさしていた。

「一緒に晩飯でもと思ったけど……こんな時間じゃ待っててもらうのも悪いか……」

三島課長は控えめに呟いて、チラッと私の方を見た。

私は誘ってもらえたことが嬉しくて、首をブンブン横に振る。

「いえ、大丈夫です!ぜひ行きましょう!私、すごくお腹が空いてるんです!」

自分が思ったより勢いのある声で答えたあとで、自分の言った言葉が、まるで食いしん坊の子どもみたいだと恥ずかしくなった。

三島課長はおかしそうに笑っている。

あ……まあいいか。

その笑顔を見ると私も嬉しくなって、一緒に笑った。

「じゃあ急がないとな。営業部に戻って帰る支度してくるから、ちょっと待っててくれるか?」

「はい!」

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