社内恋愛狂想曲
さっきまでは地を這うような重い足取りだったのに、三島課長から食事に誘われただけですっかり舞い上がり浮き足立ってしまっている私は、とことん単純だ。

好きな人に誘われて嬉しくないわけがない。

こんな些細なことで、わずかな可能性に一縷の望みをかけてみようかと思うのは、自惚れ過ぎだろうか。

それから一緒にエレベーターに乗って営業部のある階で降りた。

「自販機コーナーでコーヒーでも飲みながら待ってて」

三島課長は私に百円玉を握らせて、営業部のオフィスに入っていく。

私は三島課長に言われた通り、エレベーターホールの脇にある自販機コーナーでコーヒーを買って、ウキウキしながら待つ。

こんな嬉しい気分になるのは久しぶりだ。

どこのお店に行こうかとか、どんな話をしようかと考えて、三島課長と二人で過ごす時間が楽しみでしょうがない。

三島課長と下坂課長補佐の関係はもちろん気になるけれど、私の三島課長を好きな気持ちもどうしようもないらしい。

コーヒーを飲みながら三島課長を待っていると、廊下の向こう側から靴音が響いてきた。

この廊下の先にあるのは総務部だ。

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